2024/08/10 19:48

1年はあっという間で、もう夏も折り返し。
実は、今年の夏に実現しようと決めていたことがありました。

姫石スタッフとして復帰直後から、糸魚川の現在の原石事情を確認しようと思い 現地に何度も足を運びました。加工にも耐えられる質のいい原石が減少(さらに高騰している)のは職人の口ぶりからも充分わかっていたはずでしたが、明らかにヒスイ輝石の含有率が低そうなものであっても「糸魚川翡翠」という名前の元 平然と販売され、個人的な感想ではありますが「うーん、この値段で??」というものも見受けられ結構ショックを受けました。

私が最近の糸魚川翡翠流通事情に感じたことは「糸魚川翡翠の幅がさらに広がっている」ということ。
【 質の良い原石減少→糸魚川翡翠として扱う原石の幅を広げる→糸魚川翡翠はまだまだある 】
有限のものですので緩やかに枯渇していくのは当然のことですが、このあからさまな現地の様子に寂しさを感じました。


ヒスイ輝石が多く含まれている翡翠とヒスイ輝石が少し入っている岩石とでは 同じ糸魚川翡翠でも雲泥の差があって然るべきなのに、ざっくりと「糸魚川翡翠」として「稀少な国石」という名で取引されている。まさに玉石混交。前々からこの風潮はありましたが、ここ数年離れただけでも加速しているような印象です。

糸魚川翡翠全体の質が落ちてしまっているのをひしひし感じるとともに、今後 優良原石の枯渇はもうすぐそこまできているのかもしれない
と思わずにはいられない状態、職人との打ち合わせでも「丸玉加工はいつまで続けられるのか正直わからない」という話題が尽きない。何度かこの話を発信しておりますが、残念ながらこれが現実です。


だからこそ、できるうちに渾身の作品を皆さんに見てもらいたい!「良いものは良い、ダメものはダメ」今後も妥協せずしっかり見定めていけるように、姫石~きせき~らしいブレスレットを今夏にご紹介したい!そんな私のお願いを春先に職人に伝えましたが、依頼通り丸珠が仕上がって参りました。




入りコン沢産青翡翠・姫川水系白翡翠。
「糸魚川翡翠の本気」を感じられる2本です。



深く鮮烈な青が染みわたり、鮮烈。全体的な濃青で力強く勇ましい1本。

この入りコン沢産青翡翠ブレスは、職人が私物用に 入りコン青翡翠ブレスレットを製作した優良原石と同じものを使用してもらいました。同個体原石から これほど色濃い珠で一連を仕上げられたこと、本当にきせきのようです。



向かって 右上:原石状態、右下左下:カット断面図、左上:加工用に原石をカットしたイメージです。

Instagramでも紹介しておりますが、質の良い優良原石→もったいないし全部加工しよう!という事とは真逆の工程、質のいい原石を惜しみなくカットし その中から特に濃い部分に狙いを定めカット・丸玉に加工していくわけです。断面図の赤マル部分が特に色濃い部分です。kg単位の総量があっても、とれる量は非常に少ない希少部位、今回製作してもらった珠はこういう箇所のみ(濃い部分が8割以上ある部位)が使われています。



色づきがやさしく爽やかな入りコン沢珠と比較。
部位によって色の深さは全く違います。
例えるなら、雲の浮かぶ青空とどこまでも深い青が続く深海のよう。



原石状態からも良く見て取れると思いますが、入りコン沢産といえば 石目の多さがつきものです。ストーンラインに茶系色が入った珠と比較。この茶色系ストーンラインは色濃い部分によく入っているのですが、ブレス全体を見回したときにこの欠点がかなり目立ちます。産地特有の石目は御座いますが、こういった大きく美しさを損ねる部分はブレスの仕上がりを高めるためにできるだけ避け製作してもらいました。



入りコン沢産青翡翠ブレスについては、特に人気が高く 多くの方からお問い合わせを頂きますが ご案内できないことの方が圧倒的に多いです。運・縁・タイミングの三拍子がそろったときのみ入手できる逸品です。



そして、美しさを損ねる部分が一切みられない 稀有な白翡翠。
糸魚川産といえば=不純物がたくさんというイメージを覆してくれる、石目なし・不純物なしの部分ばかりを原石から抜き取り製作した珠です。



一連で見ると海外産の翡翠と見間違いそうな 非の打ち所がない美しさ。やわらかな雲を連想させる風合い、癖がなく年齢を重ねても似合うような馴染の良い糸魚川翡翠です。



静かな表情の中に質の良さがにじみでる。華やかさとは対極的なしなやかなうつくしさ。

石の加工は、想像以上に 労力を使い骨が折れる作業です。加工素材としてはとても堅い部類、時間もとてもかかります。機械での大量生産品はコストが抑えられ販売側としては良いことなのでしょう、でもプロの職人が磨いた珠をぜひ感じてほしい!落ち着いた色合いだからこそ、そういった細やかな仕事・確かな技術を感じられる作品です。




この特別な2本は、今回 詳細・価格をこのブログで紹介させていただきます。

【 入りコン沢産 青翡翠8mmブレスレット 】sold out
一粒あたり2.5万円程度のグレード、24珠使用。予備玉が数粒御座いますので、サイズ変更可能です。
当店職人小林と私より感謝を込め、コバさん(583)価格で583,000円(税込)とさせて頂きます。

【 姫川水系 白翡翠8mmブレスレット 】sold out
一粒あたり1.7万円程度のグレード、24珠使用。予備玉が数粒御座いますので、サイズ変更可能です。
こちらも コバさん(583)価格で、385,000円(税込)とさせて頂きます。

ご質問御座いましたら、当ショップお問い合わせ もしくは 当店Instagram(kiseki.midori)よりお気軽にお申し付けください。ブレス細部・全体をよりみわたせる動画をご検討の方にはお送りさせて頂くことも可能です。※お問い合わせ・Instagram DMは、営業時間内に対応しております。17時以降の対応は基本的には致しておりませんので、ご了承くださいませ。



かつて「姫石~きせき~」店長として 色んな糸魚川翡翠を見て知り、職人小林の手によって作品となった糸魚川翡翠を長らく皆さんにご案内させて頂きましたが、小林の頑固なこだわりに支えられ  品質重視の糸魚川翡翠ばかりを送り出すことができたと思っています。職人曰く、「丸玉加工に向かない原石を無理やり加工しようだなんて思わない」とのこと、でもそれが 当店らしさ「姫石~きせき~」という小さなお店の理念だと思っています。

当店の翡翠を長くご愛顧頂いている皆さん、そして糸魚川翡翠へ、真摯に向き合っていこうと決意を込めたご紹介でした。
立秋とは名ばかりのこの暑さ、皆様くれぐれもご自愛くださいませ。